厨房の時、同じ学校というか同じクラスにも
邪気眼のような中二病の男子がいた。
腕に包帯巻いたり眼帯したりして、誰も聞いていないのに、
「こいつ(包帯)を取ったら、またアイツが出てきて暴れちまうからな……」とか
「傷の治りがいつもより遅い……もうこっちにいるのも限界、か……」とか言ってた。
それでその男子は「もう来やがったか……ちくしょう!」とか
そんな感じの事を言って教室からよく飛び出していたんだけど、
クラスメートは皆呆れていたり、「何あれw」って馬鹿にしてた。
そういう時は友人から「何なんだろーね、あれw」と話しかけられていたんだけど、
「さぁ、ね? そういうことしたい年頃なのよw」と、私は肩をすくめて、
大人の女性っぽさを醸し出しているつもりでいた。
そしてある日の放課後、 タイミング良く私とその中二病の男子が2人だけ教室に残った。
その男子は自分の机で何か書いていたのだけど、私は鞄を持ってドアの方へ向かい、
振り返って「ねぇ、もうすぐ来るよ」と言って、不敵に微笑んだ。
男子も何のことか分からず、「お、おう……?」とだけ言っていたが、
「詳しい事、聞きたいなら……明日、同じ時間に」とだけ言い残し、帰った。
次の日の放課後もその男子は残っていて、他に人がいなくなったのを確認した私は
「残っていてくれたんだね……。知ってるよ、キミが薔薇十字団と戦ってること」
と、男子の手を握った。その男子も中二病なもんで、
「あ、ああ……あいつら、こっちじゃ姿隠してっけど、あっちじゃ結構有名だもんな」
って戸惑いながらも、のってくれてた。
「もうすぐ、ヴェネシングサッポーロが来るの。……B.J.D(薔薇十字団の略)の、ボス。
このままのキミじゃ、勝てない。でも、私はヴェネシングサッポーロの秘密、知ってるの。
……私の、お父さんだから。隠しててごめん。
私の本当の名前は、ヴェ・シルビア・ネス・サッポーロ……」
と、ここまで言ったところで男子は手を振りほどいて「ごめんなさい!」と叫びながら帰っていった。
次の日から彼は中二病っぷりを発揮しなくなり、大人しくなった。
そして私を恐ろしいものを見るような目で見てくるようになった。